青い星と青虫と


あまりに悲しげな顔をしている阿狼に、小夜は黒い狼の紫音に助けられた話をした。
もちろん、2人の間に何があったかは伏せたままだったが。


「紫音!そう言ったんですね。」



「知ってるの?」


「ええ。彼は黒狼などではありません。
私と同じ銀狼・・・だったんです。

あなたの上のお兄様付きの騎士だった。
そして、私は目撃はしていませんが、後の噂で聞いた話によると、彼はあなたのお兄さんを斬り殺して逃げたと・・・。」



「ええっ!お兄様を・・・皇太子を斬り殺した犯人ってことですか?」


小夜がそう聞きなおして、阿狼の表情をながめると、



「言いにくいことなのですが。
反逆者としてお尋ね者になったのは、あなたのお兄様の方なのです。
紫音はそのひとりを倒した英雄ということになっています。

でも、紫音はお兄様を慕っていた妖怪でもあるので銀狼であることを捨てて消えたときいていました。
小夜さんが黒狼と見えたのでしたら、それは・・・。

反逆者の手先としての姿そのままで存在しているということ。
その彼があなたを助けたんですか・・・。」




「うん。」



小夜がそうっと阿狼の顔を見上げようとしたときだった。



「すみません・・・私はこういうことはほんとは苦手なんですけど。」


と、阿狼の声が聞こえてチュッと小夜の唇に優しいキスがなされた。