市狼は自分の負傷していたはずの足をなでると、もう痛みもなく出血の跡すらないことに驚いた。
そして小夜の様子をみて、手をパチンとたたいた。
「そうか。姫は治癒能力も持っていたんだ!
僕たちの本当の姿が常に見えているのはもちろんだろうけど、王族の人間特有の何かしらの力が覚醒してたんだな。」
「ああ。私も目の前で見るのは初めてだが、王族の方々の能力について勉強していた頃、姫様によく備わっている能力として治癒能力があると知った。
しかし、妖精たちが使う治癒魔法とは違って、姫の場合は治癒したときの体の持つエネルギーをかなり消費するそうなんだ。
だから今の様子を見てみろ。
かなりお疲れの様子だ。」
「小夜ちゃん・・・僕のために。ごめんな。
治してくれた分はしっかり小夜ちゃんを守るから休憩して。」
「とりあえず、保健室で休ませるにしてもその間、私たちは結界を強化してまわらなきゃならない。
戦える者が付き添っていないと、やはり姫が危険だ。
どうしたものか・・・。」
「大丈夫、俺が姫を守らせてもらうさ。」
阿狼たちの目の前に現れた長身で長髪に白衣姿の男は突然現れたように見えた。
「何者だっ!ん?・・・・・鷹か?」
「さすが阿狼くんは聞きしに勝る勇者だな。
そう、俺は鷹妖怪の首領にして最後の生き残り。
そして今日からこの学校の養護教員になった風羽裕鷹だ。
まあ、先生だから呼び捨てにはしてくれるなよ。」
「最後の生き残りか・・・では風羽先生、すみませんが市狼たちといっしょに結界の方をお願いします。
姫には私がついていることにしますので。」
「え・・・だから俺が保健の先生なんだからさ~~~」
「生き残りだから姫と関係を持って王族の人間として生まれ変わるおつもりかもしれませんからねぇ。」

