これは、些細な仕返し。

精算しようかと思って。



「あれは彼女じゃない。俺は、ひまを知ってから、お前しか見てない」



…馬鹿みたい。

ちょっと、嬉しかった。

溢れた涙は、きっと嬉し涙。



「結香の妹の紀香に迫られてた。
ひまに振られて、狂うまで呑んだ時に、抱きそうになった。
――でも、俺。お前じゃないと無理だ」



「…ッ…言うのが…遅いよ…。
歩斗が嘘を吐かなければ…赤ちゃんに…寂しい思いさせなくて済んだのに…っ…」



「ごめん…ごめん、ひま…」



本格的に泣き出した私を抱き締めに来た歩斗。

鼻声で泣いてるのがわかる。