演劇が、好き。 仲間が、大好き。 この空間も、大好きだ。 ………ただ、ね。 「菜摘、おめでとう!」 一つだけ、胸をかすめることがあるの。 『ありがとう。』 芽衣がえくぼを見せながら喜んでくれるから、私も自然と笑顔になる。 芽衣の笑顔は、“菜摘だったら白雪姫になれるよ”と言ってくれてるみたいで、とてつもなく安心できるから、やっぱり好き。 「あーあ…、でもいいなぁ~!」 ―…胸が、びくんと大きく跳ねた。 しかも嫌な方向に。