“可愛い” “菜摘が羨ましい” そう言って、芽衣はいつもえくぼを見せながら笑うけど。 本当に羨ましかったのは、私の方なんだよ。 『――芽衣っ!』 思いっきり、声を張り上げた。 大分、私より先に部室から飛び出した芽衣。 それでも見失わずに追いかけることができたのは、芽衣がどんくさいから。 屋上にたどり着いた芽衣の後ろ姿は、パワーを使い果たしたかのように肩を揺らしている。