―…だけど、白雪姫になりきれるはずなんか、なかった。 台本が進み、しばらくした次のセリフ。 “あなたが大好きです”と。 どこまでが“私”で、どこまでが“白雪姫”の気持ちなのか、わからないんだから。 『私は、あなたが大好きです。』 声が、震えた。 今までやったどの役よりも、比べものにならないぐらい、一番。 この言葉を口にするだけでも、喉に突っかかるし、 何より、それを口にするだけなのに、なんでこんなにも目頭が熱くなるんだろう。