芽衣には、言わなかった。言えなかった。 もう一つの、白雪姫を演じたかった“理由”。 「え~、でも嫉妬しちゃう!」 最後の劇だから、主役を演じたかったのは、本当。 役の中でも一番、白雪姫に強く惹かれたのも、本当。 ただ、大介くんが王子をやるから、白雪姫をやりたかったのも、本当のこと。 『何言ってんの!ただの演技だよ!』 ……そう。 これは、ただの演技だから。 私はただ、白雪姫を純粋に演じるだけ。 それ以外のなんでもない。