しばらく寝ていた私は、誰かの声で目が覚めた。


「失礼しまーす」

「あっれー、先生いないの?」

「おーい」

 ・・・聞き覚えのある声だった。

「先生居ないねぇ」

 歩だ。

「まっ、いいか。朱莉居るー?」

 こっちは久美。

 足音が段々近くなってくる。なんだか気まずくて、咄嗟に寝たふりをし、布団をかぶった。

 シャッ、勢いよくカーテンが開く音がした。

「あっ、いたいた」

 そう言いながら、私の頭の方へ歩は近寄ってきた。

「おーい。起きなよ」

 歩の反対側にいた久美が、かぶっていた布団をのけ、肩を揺さぶってきた。

 さすがに起きようと思い、今目が覚めたふりをした。

「えっ、あ、久美」

 目を開け、上半身を起こす。

「おはよう」

 久美がベッドに座りながら、話し掛けてきた。