でも、貴方はこんな時に限って、 「……今から行く」 あたしを離してはくれない。 あたしが絞り出して訴えた言葉も想いも、全部砕くように……こう言うときだけ、まるであたしを必要とする子犬みたいに、すがり着く。 「待って、悠…」 ──プーップーッ… 一方的に切られた電話。 これから、悠也が来る。 あたしから悠也の家に行くんじゃなくて、貴方から来るんだ。 そんなこと、今までにあったっけ? ずるいよ、悠也。 別れるって決めたのに ドキドキさせないで……