俺の前の席のイスを借りて横向きに座り、足を組む結奈。

この癖はいつまで経っても変わらない。


「お前の方がわかってんじゃねーの?〕

「まぁ、そんなことは決まってるけどさ。頑張り屋で可愛いもんね」


そうなんだよな。

それで深く考える癖があるから、知らない奴からキスされたなんて知ったら壊れちまうんじゃないかって怖くて、とっさに俺が罪を被った。


結局犯人はアイツだったけど……。


「雪那たちさ、幼なじみで、思春期のなり始めに関係が壊れたままだったんだってね」

「あぁ、聞いた」

「あたしらはさ、ケンカばっかしてた」

「そうだな。幼なじみでも色々あるんだな」


俺は中学の頃の結奈との学校生活を思い出す。

お互いに口が悪くなっていったのもその頃だ。


「何でケンカばっかしてたんだっけ?」


俺は過去の記憶を遡る。

そういや、俺からふっかけることは少なかったような気がするけど……。


「アンタがあたしの友達ばっか好きになるからでしょ?」

「あ、そうだ。それで俺が結奈の友達を取ろうとすから──」

「違うし、鈍感」