あたしの中の何かが、弾けた。


「ちょっと来て」


功の腕を掴んで、引っ張っていく。


「は!?ちょ、おまっ」

「黙ってツラ貸しな!」

「その言い方じゃ、不良みたいだよ」


廊下を出るとすぐ、これまた聞き慣れた声がした。

功とは違う、優しそうな声色。


さっきまで聞いていた、彼の声。


「――秋継」

「女の子なんだから、乱暴しない方がいいよ?」

「や、あの、これは、その……」


その場のノリって言うか、なんていうか……。


うわ、秋継にみられた、恥ずかしい……。


「……そういうことか」


ふと、功が声を出した。


「え?」

「いちいち振りに来たんだ。そいつとうまくいったからって」