ドアに背をあずけて、うつむいたまま彼は言う。


「……雪那……」


セツナイ声で、私の名前を呼ぶ……。


「雪那は、俺が嫌い?」

「嫌いなんかじゃ……」

「アイツが好きなの?」

「ちがっ……!!」

「俺は、嫌い」


……功のこと?

それとも……あたし?


「……アイツも、お前も、もう何もかもが嫌いだ」


……あたし……。


「もう嫌だ。嫌いだ。嫌いだ。お前がいない生活なんかもう嫌だ!!」

「え……?」


秋継……?

今、なんて……。


「なんでアイツなんだよ!?なんだよ、俺の方がなにもかも先だったのに!アイツなんて嫌いだ!勝手に離れて行ったお前だって嫌いだ!……好き過ぎて、嫌いだ……」