そんな私の思いに気が付いてくれた人がいたのか、倉庫の扉が開かれた。期待の目を扉に向ける。

 若い男性が、入ってきた。


「んーっ!」

 “助けて!”


 ……けれど。


「林檎飴の補充にきましたよ……っと」


 その一言を聞いて、目の前が真っ暗になった。


「……ん?目が覚めたのか。悪いな、こんなめに遭わせて」


 のそり、のそりと近付いてくる若い男。


「本当は、俺、こんなことしたくないんだけどさ。俺の婆ちゃんが、生きていくためには仕方のないことだって言ってて」


 婆ちゃん?林檎飴のおばあさんのこと?じゃあ近付いてくる男は、おばあさんの孫……?

 ううん、そんなことはどうでもいい。助けて。死にたくない!


「婆ちゃんのその言葉を聞いてたらさ、そのとおりだなぁ……って思ったりして。だから悪く思うなよ?」


 男の手には、銀色の器具。

 ハサミのような形をしているけど刃はなく、どちらかというと摘むような形をしている。


 ……まさか。