自殺Tube

 俺は愛用しているワイヤレスマウスの左ボタンを数度クリックした。


 そしてソフトがダウンロードできたところで、パソコン本体に保存する。


 バックアップとしてフラッシュメモリにも同時に入れておいた。


 その日、理恵子が俺の部屋に遊びに来た。


 ワンルームマンションは狭い。


 ホントなら、会う場所を別に設定した方がよかったのだが、俺もこの近辺の雑踏に紛れ込みたくないと思うことがあった。


 新宿は危険な街だ。


 下手に都心などに行くと、とんでもないことに巻き込まれる可能性がある。


 俺はそういったことを極力警戒していた。


 玄関の呼び鈴が鳴ったのは午後四時半過ぎだ。


 一応ドア越しに訊ねてみる。


「どなた?」と。