自殺Tube

 だけど、正直またお払いを頼むことになると、金が掛かる。


 いくらデイトレードで稼ぎ捲(まく)っている俺でさえ、五万ぐらいの金ならどうにもならないことはないが、やはり出すのは惜しい。


 お払いや除霊自体に確証がないからだ。


 曖昧なのである。


 それに自殺Tubeのソフトが市場に出回り出したのは今年に入ってからのようで、これを使って自身の自殺シーンを撮り残したのは、まだ全国でも数えるほどだった。


 つまり被害は広範に及んでいるわけじゃない。


 だから、あまり慌てないことにした。


 むしろ平常心で臨んだ方がいいんじゃないかというぐらい。


 八月もお盆の時期に入ってきている。


 納涼という言葉がそろそろ出始める頃だ。


 今年の夏は例年通り、ひどく暑かった。


 俺も何度Tシャツやトランクスを洗濯したか分からない。