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「あ、あたし。理恵子」


 ――うん。……どうかした?


「いや。別にこれと言って何もないんだけど、あのソフトはもうアンインストールしたのよね?」


 ――ああ。自殺シーンの撮り残しなんて縁起でもないからな。


「あたしもそう思ってた。憲介はそんなものを嫌ってるって」


 ――でも、変なもの見たぞ。君が帰った後、黒くて長い髪の毛がトイレに引っ掛かってて、便器に女の顔が映ったんだ。


「怪奇現象?」


 ――だと思う。霊媒師が来ることになってる。三日後の午前十一時に。


「また何かありそうね」


 ――ああ。だけどね、一度お払いしてもられば、後は大丈夫だと思うから。


「そんなに簡単に霊が退散するかしら?」