自殺Tube

 しかも自殺Tubeを使って。


 言葉を失ってしまった。


 医師や看護師、それに追うようにして慌てて駆けつけた施設の職員なども驚いている。


 このソフトには裏にきっと何かがあるはずだ。 

 
 無念のまま死亡し、挙句、自殺Tubeというソフトの中にぎっしりと怨念を詰め込んだ国子は何かを訴え掛けたかったのだろう。


 だけど事件がここまで来てしまった以上、もう国子の怨霊を消す方法はないに等しい。


 次のターゲットが出てくるまで、息を潜めて待つつもりでいた。


 その夜、花の沢から新宿区内の警察病院へと運ばれた水前寺の遺体は事件性を考慮して司法解剖へと回され、監察医が解剖し、所見を提出した。


 警察も手を焼いてるらしい。


 何せ、自殺Tubeはネット上で爆発的に広がったソフトで、ダウンロードした全てのユーザーが死へ追いやられている。


 それに薄気味の悪いものを感じた。