その時、俺は


教壇の上に置かれたまこの鞄を発見した。



ベージュの皮のバッグ。




おいおい。



花束や色紙の入った紙袋で手いっぱいなのはわかるが

自分の鞄、忘れてんじゃん…




ばっかだなぁ。


そういう天然な所も

俺には合ってるんだよな。






俺は鞄を持って、廊下へ。






あ!!



そうだ。





もういいや!



入れちゃえ…




これしか、思い浮かばない。





「おい、お前自分の鞄忘れてんぞ!」



俺は、廊下ではしゃぐまこに鞄を手渡した。


クラスメート達は、「まこたん、鞄忘れてんの~?」と爆笑していた。



「神崎君、ありがとう!!私、ほんとばかだね。」


涙ためながら、笑うんじゃね~よ。


神崎君なんて、みんなの前でだけ呼ぶなよ…

隠れて付き合ってるカップルみたいじゃん。




「ほんと、ば~か!」


俺は、まこにそう言って、教室の中へ戻る。



ニヤニヤした龍之介に、胸を張って言った。




「俺、告白するから…」





明日からこの高校生活はちょっぴり寂しくなる。


あいつがいない教室は

なんだか変な感じがする。



ついこの間まで、あいつはここにいなかったのに。


この高校にも

俺の心の中にも…

いなかったのに。




もう、あいつのいない生活なんて考えられない。






校舎の外までみんなで見送った。


手を振るまこが、最後に見たのは…


もちろん、俺…