けれど彼女の手はわかりやすい程に震えていた。 絵を渡しかけた手が止まり、小さく白いそれが絵を胸に抱きかかえる。 「ひとつだけ、聞いてもいいか」 「えぇ…どうぞ」 得体の知れないものほど怖いものは無い。 それを知っていたから、マイラスも頷いた。 「なぜ、オレにこんな願いを」 カチカチと鳴っている奇妙な音がどこから来るのかやっとわかった。 彼女だ。 今にも泣きそうな彼女がしゃべるたび、うまくかみ合わない歯が音を立てていた。