慟哭の彼方



首を傾げるハイゼルに、彼は笑う。

「だって有名だもの」

そうか、自分は有名だったのだ。

みんなの中で像を描く自分はきっと、火を吹くドラゴンのように恐ろしいのだろう。


次いで名乗られた名前に目を見開く。

それは学年で自分より有名かもしれない、いじめられっ子の名前だったのだ。


けれど頼まずとも自分を助けてくれた恩人に向かってそんなレッテルを貼るのは、許されないことのような気がした。

だからそれも、気まぐれだったのだ。

「俺、お前みたいな友達がいてよかったよ」


彼が笑いながら言った言葉はとても奇妙で歪だった。