慟哭の彼方



そうして自分に振りかかって来るはずだった鈍い音は、目の前の遮蔽物に吸い込まれる。


無関係の人を巻き込んだことで、先輩達も動揺したらしい。

ひとまず訳の分からないうちに事態は収束した。


けれどもハイゼルの代わりに殴られた彼は、地面に尻もちをついて立ち上がれないようだった。

押さえた頬の赤みが痛々しい。


「何だよ、お前」

助けてくれた相手に向かって言うにはあまりにも無骨な言葉だった。

けれどもハイゼルは、顔も名前も知らない相手に助けられたのだ。

そんな態度をとってしまうのは当然と言えるかもしれない。