「あたしじゃどうにもならないの……お願い、一回でいいから…遥を助けて……」
“助けて”と東野は言うが、どうやって助けんだよ。
原因が“焦り”って言っても、それを無くすのは最終的には本人だ。
俺等が出来るのは、それを手助けすることだけ。
…でも、遥があのままのは嫌だ。
“嫌”なんて子供っぽいけど、嫌だった。
だから、俺は言ったんだ。
「…俺等は、どうすればいい?」
「あたしと遥、明日体育館で練習する約束したの。それに、来てほしい。…来て、遥を助けて。少しでも、元に戻るように…あの、バスケが大好きなバスケバカに戻してほしい」
「…あぁ。あいつは、バカみてぇに楽しそうにバスケやってるのが一番だからな。ぜってぇ、俺が元に戻す」
そう言って、俺は東野を見据えた。


