この位で何凹んでんの、って普通の人なら笑うかもしれない。


でも、あたしは知ってる。


この小さなミスが積み重なって、勝敗に大きく影響するのを。




…少しでも、ミスを減らさなきゃ。


グッと、拳の握る。


そんなあたしを見て、何を思ったのか…


奏音と喋っていた筈のゆりあが、言う。




「遥…、焦り過ぎちゃ、ダメだよ?少しずつ、確実にレベルをあげなきゃ」


「…ん」




わかってる。


わかってるんだよ。


でも、あと一ヵ月しかないんだ。


後…一ヵ月、だよ?


もう、それだけしかないんだよ?


それで焦るなって言う方が、どうかしてる。




あたしは、バスケのことで頭がいっぱいで。




「…はぁ」




ゆりあの小さな溜息に気付かなかった。