ムスッとしていると、聞こえて来たある声。




「先輩!こんにちは!!」




礼儀正しくそう挨拶するのは、後輩の神崎奈月(かんざきなつき)。


身長157㎝、ポジションはフォワード。


背番号は14で、いつも後輩の中では一番早く来る、頑張り屋さん。


その成果か、後輩の中では一番上手く、公式試合に出ることもある。


因みに愛海の付けたあだ名は“なっちゃん”。


奈月は真剣にバスケをしている時だけは敬語じゃなくなり、逆にみんなはそんな奈月だからこそ、遠慮は無しにバスケが出来ると言う。


ま、あたしもその中の一人なんだけど。




「奈月、今日も早いね~」


「そんなことないですよ!と言うか、どんなに早く来てもいつも遥先輩とゆりあ先輩は必ずいるし…」


「あはは、そりゃぁ、一番乗りは気分が良いからね♪



でも、今日はゆりあ委員会でさぁ~!京と悠大来るまであたし一人だったんだよ~?」


「そうなんですか?じゃぁ、あたしもっと早くこれば良かったです~…」




奈月はそう言いながら体育館の隅に鞄を丁寧に置くと、こっちに近付いてくる。