飛べない黒猫

「蓮も買うの?」


また一つ荷物を増やした洋子が、蓮の肩越しでペンダントを見た。


「まさか、男はこーゆーの付けない。」


「あら、そんなの偏見よ。
アタマ固いのね、若いのに。」


…君が柔軟すぎるんでしょ。


「それ、綺麗ねぇ。
へぇ…値段も手頃だし。
あっ!真央ちゃんのプレゼントにどう?
いい大人が手土産無しで、およばれもないわよね。」


そういや、そうだ。


蓮はポケットから財布を出してムーンストーンを指差した。


「すいません、これ下さい。」


小さな石のペンダントは、白いベルベットの布で出来た箱に入れられ、白と銀の包装紙で包また。


「リボンは何色にしましょうか?」


「えーっと、…赤で。
女の子だから…」


店員がクスリと笑った。

ん?女の子だから赤って、おかしいのか?
蓮は首をかしげる。


そういえば、人にプレゼントをあげるなんて、今まで無かったんだ。
はは…、25歳にして初だよ。

まあ、身内みたいなモンだけど、可愛い女の子だ。若いギャル。
むさい男じゃないんだからOKでしょ。



少し気恥ずかしく思いながら、店員から赤いリボンの箱を受け取った。
そのままジャケットのポケットにしまい、世間話に花を咲かせる母親を制して店を出た。

この時期、日が落ちるのは早い。

薄暗くなりかけた繁華街の道路脇でタクシーを拾う。
山のような荷物を後部座席の奥に詰め込んで、二人は洋館に向かった。