飛べない黒猫

休み時間の教室。
数人の友人に囲まれて、美香が携帯の待ち受けを見せている。


「きゃーっ!
ヤバい、マジかっこいいっ」


「見せて、見せて…おぉーっ‼」


「へへへ…でしょ?」


美香は得意気に笑う。


「学校祭に来てくれるの。
あ、でも…彼の妹がもれなく付いてくるんだけどさ。」


「へーっ!
妹もハーフ?」


「ううん、普通のジャパニーズ。
再婚だから。
しかも、最悪な事に、ウチのオタク兄ちゃんも来るってゆーし。」


「あたし、ハーフな彼と話したーい。
紹介してよ。」


「あ、ズルい!あたしも…」


「ダメダメ!
今回は勝負なの。
蓮さんのハートGETするチャンスなんだから。」


「あはは、気合いだねぇ。
美香のダイナマイト☆バディに迫られたら、ハーフな彼もヤられちゃうかも…」


「ぎゃははっ」


「…で、お願いがあるんだけど。
美香ね、彼と2人っきりになりたいの、協力して。」


美香は、手を合わせウインクしてみせる。


「えーっ、わたくしどもに、君のオタ兄をナンパしろとでも?」


友人達は笑う。


「その通り!
彼の妹も…一緒に見に行こうよ!とか何とか言って誘って。
30分位でいいから。
ねっ、ねっ、お願いしまーす!」