「彼氏に、なんて言ったんだ?」 「え?」 「坂倉との婚約、彼氏に言ったんだろ。」 「あぁ……。」 私は、言ったときのことを思い出して、表情がが歪み、泣きそうな顔になった。 「……別れちゃったぁ。」 普通に明るく言うつもりが、声が震えて凄く弱々しくなってしまった。 お兄ちゃんは驚いた顔をしていた。 ……無理もない。 私は、お兄ちゃんに、こんな弱った姿を見せたことがない。 「愛実、 ……お前、ちゃんと女だったんだな。」 私は無言で馬鹿兄貴の頭を殴った。