「……………婚約者。」

「え??」

「私にね、婚約者……いるんだって。」


静寂な空間に包まれる。


「……ぇ?」

「雪ちゃんがね、
私の婚約者なんだって。私、雪ちゃんのモノになるんだって。」


私、何言ってるんだろう。

慧斗に言いながら、そう思った。

こんなこと慧斗に言って、慧斗にどうしてほしいんだろう。って。


「……で?」


慧斗の声が、誰もいない廊下に響く。