狐・・・?


「やっぱり」
シンの声に戻って、シンの口元が緩んだ。
「どうなってるの?」
私は耳を疑って、質問した。
「狐は、弱い存在にはなっているけれど、
 君の中で生きてるよ」
「・・・え」
「君等は同じ魂だからね、
 狐は消滅の間際、
 魂の一部を君の中に避難させた」
「・・・」

狐とまた、会えるかもしれない。
その可能性に、私の胸の鼓動は、
可笑しい程早まり出した。

狐とまた会いたい。


さっき、口をついて出た声。
また出てこないかと、ソワソワしてしまう。

「狐を復活させたい?」

シンは無邪気に、聞いて来た。
私は迷わず頷いた。

「どうすればいいの?」
「俺の言う通りにして」
「・・・」
「悪いようにはしないから」


シンに見つめられて、頬に熱が集まる。
目的がわからない生霊のシンに従うのは危険だ。

生霊のシンは、一度謎の失踪をしている。
本体のシン達が為そうとしていることに、
賛成しているなら、失踪なんかしないはず・・・。

白髪の仲間を人質に取ったり、
善良とは言い切れない。それでも・・・。

「わかった」


狐に会いたい気持ちには勝てず、私はシンの手に落ちた。