「っ」

白髪は溜息をつき、その場にしゃがみ込んだ。

「もぉやだよ、
 こんなの・・・」

「おまえが言えたギリかな?」
「やめてくれよ」
「おまえが葬った沢山の人の死にも、
 もれなく悲しみはあっただろう、
 それを意識しながら心を痛めるといい」
「やめてくれ」
『私の娘はあの日誕生日だったのよ、
 久しぶりに私に合えることや、
 生まれて初めてドレスを着れることを、
 数ヶ月も前から楽しみにしてたのよ』
「Don’t say!
・・・please!
please・・・ 
don’t say!
aa・・・」

白髪は頭を抱えた。
シンの口から、白髪を責める女の人は、誰だろう。


『セキコ・・・』
次は男の声。
シンはポロポロと涙を溢し始めた。
『セキコ、・・・セキコ、
 消えてしまうなんて、
 せっかく、
 また出会えたのに』
私は泣くシンの頬に、手を当てた。

『消えてねぇよ馬鹿』

私の口を動かしたのは、狐の声だった。