サグラダ・ファミリア

シンは静かな靴音で、
やって来て、寝転がった私の足元に腰を降ろした。

「生霊にしちゃってごめんね」

脈絡なく、謝られて、わけがわからない。

「・・・いいの、たった今、
 良かったって思えたから、
 生霊で良かったの、
 消えられるから・・・」

「君たちはツインソウルだからね、
 相当な苦しみだと思う」

「・・・」

「テオが死んだ時も大変だった、
 狐は悲しみに耐えられなくて、
 妖狐になってしまって・・・、
 100年ぐらい苦しんで、」

「100年・・・?」

100年もこんな思いを、持て余すなんて地獄。

「少し、狂ってたね」
「狂いもするよ・・・」

「俺が助けたんだ、前世の話だけど」

「・・・」
シンは笑顔を見せて、
それから、哀しそうな顔をし、
狐の血に手を触れた。

「ゆうこのことも、助けるよ」