サグラダ・ファミリア

「狐、強いんだね」
「おまえはもっと強い」
「ほんとかなぁ」
「ほんとだ」
「・・・、ほんとなら、
 どうすれば、
 狐みたいにできるの?
 あんなに自由に、凄いこと・・・」
「おまえは目覚めたてにしちゃ、
 結構な技を身につけてる方だ」
「・・・もっと使いこなしたい、
 皆がそれぞれ、戦い始めた時、
 私、動けなかった・・・、
 どうすればいいか、わからなかった」
「どう動くかは、技じゃなくて、
 頭で考えることだけどな、
 まぁそれも実戦に立ち合ってりゃ、
 自然にわかるようになる・・・」
「・・・技は?」

「俺が教えてやる」

「ほんとに?」
「ああ」
戦えるようになる。狐から技を教わって。
「なんか、生きる気力、出て来たっ」
ともすると、無気力になってしまう、
生霊という立場を、狐の存在は明るいものにしてくれる。
狐が居れば、生きていける。

「まず尻尾の生やし方から」

「やっぱいいや遠慮しとく」

「冗談には一回笑ってから反応しろ」
ふふ、と互いに緩く笑い合って、心地よい応酬。
息をするように、冗談を言い合える。笑い合える。