サグラダ・ファミリア

「狐・・・」


「おまえは絶対消させない」


いつもより低く、固い響きで言われ、
緊張して、返事に困った。



ついにドアで進めないところまで来て、
私達は地面に腰を降ろした。

指で掴まれた私の腿は、歪に凹んでいた。

その様子を見ただけで、ショックでまた吐きそうになった。

狐は私の頬に、落ち着かせるためのキスをし、
両手で私の腿の凹みを覆った。


フラッシュのような光。


いつかの龍さんのように、狐は私の腿の凹みを治した。

一瞬、骨の溶けるような激痛が来たが、歯を食いしばった。

私の目に、生理的に溜まった涙を、唇で拭い、
ついでに額にキスをし、
狐はまた私を抱きしめた。

「俺達は強い、俺達は生き残る」

自然で、無理のない声。
本気で、そう信じている声。

私を励ますためのものでも、
自分を鼓舞するためのものでもない、
真実を語る口調で。

建物の入り口に、巨人の顔が覗いた。


私達の姿が、見えないのだろう、
腕を伸ばし、見当違いの方を、探っている。
狐が毛を飛ばした。
毛は大量の炎に変わり、巨人の顔を焼いた。
一体目の巨人が、悲鳴を上げて立ち去る。

すると、二体目。


二体目も同様に、狐の炎で立ち去った。