サグラダ・ファミリア

飛び出そうとした身体を、狐に押さえつけられた。


ザビエルさんを、巨人の一人が足で踏んだ。
その後、複数の巨人が集まって来て、
しつこい程、
踏みつけていく、
蹂躙が始まった。

ザビエルさんの身体から、
黒い血が跳ねるように飛び出ては、広がる。

気を失っているザビエルさんの身体は、
無事のようだけれど、それでも惨く映った。
ザビエルさんが、身体の内側に、
生霊を住ませていたとして、
その生霊が踏み殺されていく現場なのだ。

私は光を反射し、フライパンのようになっている、
滑走路の地面に吐いた。

狐が肩を抱いてくれて、今度は涙が込み上げる。

泣き声は堪えたが、鼻と目の付け根がキンと痛み、
次から次へと涙が出る。

その涙が、引っ込んだのは、


巨人たちが私達を見つけたのがわかったから。



一体、近づいて来る。

狐が尻尾の毛を毟り、その毛で狐の姿を作ると、
巨人が多めに居る方に走らせた。

数体が毛の狐に気を取られた隙、
私と狐は毛の狐とは、反対の方向に走った。

残りの巨人たちが一斉に、私達を見た。


「くそっ」

狐は毒づいて、
飛行機の整備に使われている施設、
工場のような建物に足を向けた。

「巨人の目は日陰の中を映せない」
「え?」
「建物の影に居りゃぁ、安心ってことだ」

じゃぁ、最初に、皆で空港に逃げれば・・・。

「建物に手を突っ込まれて、
 探られたら終わりだけどな!」

ああ。

飛行機から空港へ移動する際の、
あの細い通路で引っかかるのね。

やっぱり、こうなるしか、道はなかったんだ。
辛い状況で、
ああすれば良かったとか、
こうすれば良かったと、
考えてしまうのは人の性だ。