サグラダ・ファミリア

急に、咽喉に衝撃。


ふわりと狐の匂い。
気が付くと狐に腰を抱かれ、
私は飛行機と空港を繋ぐ、通路の影に移動させられていた。
咽喉に来た衝撃は、素早く抱き上げられた際、
狐の肩にぶつかったため。

狐は頬に昨日の青痣を残したまま、
新たに耳に切り傷を作っていた。

私を運ぶために、急いで人の形になったためか、
腕は狐のまま。キラキラと、毛並みが光っていた。


「暑そう」


その腕の毛並を撫で、感想を漏らすと、
片腕で、ぎゅっと抱きしめられた。

「無事か」
「・・・うん」
「しっかりしろ」
「・・・」
「ぼさっとしてると殺されるぞ、
 そういう状況に、
 立たされてるんだ、
 戦いの場に居るんだ、
 それをわかれ」
「・・・」
「ゆーこ」
「・・・、・・・、・・・ごめん」

疲れ果てた、私の顔を認め、
狐は眉間に皺を寄せた。

「おまえは強いんだぞ」
「・・・」

強くなくて良いよ、安全な所に、
居ても良い身分になりたい。