サグラダ・ファミリア

言い切られて、むず痒い。
こんなに、親しさを感じ合える相手が、
すぐ傍にいる幸せ。

私は思わず狐を抱きしめた。


『じゃぁ、狐が生きてる限り、
 私も一人じゃないんだね』
『ああ』


狐の大きな手が、私の後ろ頭に、
そっと添えられて安心感。

狐と離れたくない。

一緒にいたい。

ずっと、傍で生きていたい。
狐を好きになりたい。


『着陸しました、巨人は二体増えた様です』
『把握してる』
『狐様!本当にお一人で?!』
『しつこいぞ』
『・・・皆で一斉に逃げるのではいけませんか?!
 私ども坊主一同、
 血を吐いてでも、強力な結界を作り上げる所存ですが・・・』
『寺の奴等にそこまでさせんのは気が引ける、
 ここは神道代表、
 やらせてくれ・・・』

狐は私の身を自分から離し、
白髪に託した。

オォォォオオォ、と外から巨人の轟きが聞こえて、
身が凍りついた。


怖い生き物が、近くに居る。
地の底から響くような、声に私は狐の腕を掴んだ。

「行っちゃ駄目!」
「あ?」
「危ないよ、やめて・・・」

「俺が行かないともっと危ないんだ、
 わかれよ」

「わかってるけど」
「ゆーこは強い、俺も強い、
 俺達は強い、何も怖がることはない、
 待ってろ、道を作って来る」


「狐兄ィ、かっこいいっす」


白髪の言葉に、涙が出てきた。
どうしてこんなにかっこいい人を、
一番好きになれないんだろう。
自分で自分がわからない。
自由にならない心に、腹が立つ。