サグラダ・ファミリア

「まずい、巨人だ」

シンの声が響いた。


狐と触れている部分から熱が来て、
またあの遠目から見える景色が頭に浮かんだ。

陸に着こうとしている飛行機の左右、
前、後ろを、
沢山の巨人が、平行して歩いている。

『この数は・・・』
「やばいんじゃない?!
 かなーりやばいんじゃない?!
 怖い怖い怖い怖い、
 こわぁーい!!!」

白髪が騒ぐので、周りの一般の乗客まで、
ざわざわとし始めた。

「ソフィスティケイテッド、さん、
 うるさい」

「わおわおわお!ゆうこちゃん!
 俺の名前覚えてた!
 やるぅ!
 きゅん来たー!
 きゅん来ましたぁー!!」
「だからうるさいって・・・」

問答無用、


狐が尻尾で白髪の顔を覆った。

もふもふの尻尾に頬を包まれ、白髪は少し幸せそう。

いいなぁ・・・。



『どうしますか?!』

ザビエルさんの声。

『俺が奴等の気を逸らすから、
 その間に逃げろ』
『そんな・・・!危険です』
『・・・危険でもそれしか方法ねぇだろ』
『いけません、セキコ様、
 相手は巨人ですよ?!
 嫌な予感がします』

坊主のリーダー格と思われる、
肩幅の広い男が強い声で主張した。

『セキコ?』
『狐様のお名前です、
 この世でただ一人の、赤狐でございますから、
 種族の名ですが、そうお呼びしております』

この世でただ一人?

『狐・・・、一人なの?』
『おまえがいる』
『・・・、私やっぱりあんたの妻になる方向なの?』
『なってもならなくても、
 おまえと俺はもとは一つの魂、
 言わなかったか?
 俺達はツインソウルだ』


いや、ツイン何とかって言われた覚えはあるけど、
意味は知らなかったよ?!


『おまえが生きている限り、
 俺は一人じゃない・・・』