サグラダ・ファミリア

『やめて、ダメ、ダメだよ、
 やめて!!!』

水は車内の足元を埋めて、
さらに腰の方まで溢れて来た。

『どうかされましたか?
 ゆうこ様』

「ゆうこさん?」

ザビエルさんの困惑した声と、
目の前のシンの、不思議そうな顔。
邪悪な存在か、何か、
知らないけど、
何かを消してしまうことに、
皆、躊躇いが無さ過ぎる。


『ソティスティケテッド、
 頼みがある』

龍さんの声。に、ほっとする。
良かった、消えてなかった。

「龍さん?!無事だった?!」
『龍さん大丈夫?!』

白髪と私、続け様に伺う。

「しぶてぇ龍だな」

狐が毒づく。

「何?この状況?どうなってるの?」

シンが眉根を寄せた。


『ソフィスティケイテッド』
「はい」

再び龍さんが白髪を呼んだ。

『この水を飲んでくれ』
『水?』
「・・・この、って、これ・・・」
『ああ、オレの分身ヨ、
 山の上の清い水だ、
 腹を下すことァねェ、
 さァ、・・・一口でいい』

「・・・」

白髪は神妙な顔で、
腰まで来ている水を眺めた。

悩む気持ちはよく分かる。
何か、微妙だよね!!

『このままじゃァ、マズイんだ、もゥ・・・、
 意識が・・・、薄れてきやがってよォ、
 油断したよ、ちくしょうめ・・・、
 モロに術をくらっちまって、
 坊主どもめ・・・、滝で育ててやった恩も忘れて・・・、
 ああ・・・やべぇ、前後不覚、人事不省・・・だ・・・、
 ・・・自然・・・に・・・・・・帰っちまいそォでェ、
 ソフィスティケイテッド、・・・助けてくれ』