サグラダ・ファミリア

「・・・」

狐は黙りこんで、
私を、観察している。

あの大きな手で、
触って欲しい。
身体のどこでも良い、
温かさを感じたい。


願いが伝わったのか、
狐の手が、頬を撫でた。
骨のしっかりした、
男のコの手。
思わずその手を、
両手で包み、
寄りかかるように、頭の重さを預けた。



「俺の嫁になるか?」

遊びに行く相談を持ちかけるような、
軽さで、さらりと。
言って、狐は、

にかっと笑った。


そんな楽しそうな顔も、できるのね。

「うん、って言え」

わくわくしているように見える。

「う・・・」


言い掛けて、思い留まる。
いやいや、急、・・・急にそんなこと言われても。

夕子がキラキラと、目を輝かせて、
私達のやり取りを見守っている。

「ゆーこ・・・」

名を呼ばれて、混乱する。
何言ってんの?何言ってんの?
自分が何言ったかわかってんの?こいつ?
からかわれてるの?私?!

「嫁って」

「直感で返事しろ、
 なるのかならないのか・・・」

「直感?!」


そんな大事なこと!
すぐ決めるなんて無理!!


私が固まっているのを見て、
狐は苦笑した。

「もう時間切れだ」

「え?!」