「あ、皆部屋に行く前に、
 今後のことで、ちょっと、
 話し合おう、
 僕等本体陣と、
 生霊陣が、
 思いの他早く合流したことや、
 これからの敵襲への、
 対応なんかについて、
 意識を統一しよう」

本体陣、とはシンと夕子と、
二人の後ろに立っている、
屈強な黒人四人のことだろう。

シンと夕子の守りは、
私達の守りである聖職者や坊主と、
うって変わって、
いかにも、ボディ・ガード、という風。
そっちのほうが、なんかカッコイイんですけど。

「本体側は、
 霊気を帯びない分、
 ガードを薄めたけど、
 念には念を入れたい。
 そっちの、
 ・・・ゆうこさんの成長が、
 目覚しいようだから、
 少し、援軍が欲しい、
 できたら二人ぐらい」

「ソウデスネ、
 少シ、ソチラノガードガ弱スギルト、
 私モ案ジテオリマシタ」

ん?こっちのガードのが手厚いの?
あっち凄いイカツイですけど?


「待てよ、お前等は霊気を手放してるだろ?
 邪気には狙われねーどころか、
 気づかれねー!
 危ねぇのはこっちなんだ、
 手厚くすんのは当たり前だ、
 ゆーこは確かに成長してるけど、
 戦士の頭数に入れんのは可笑しい、
 昨日まで、普通に、人間やってたんだぞ?!」

「でも、今は生霊だし、偉大な力の持ち主だ、
 実際に受胎するのは夕子だし、
 夕子は無力だ」


私と夕子は顔を見合わせ、
眉間に皺を寄せた。

自分達について、自分達抜きで、
相談されている居心地の悪さを感じたのだ。
目と目で通じ合い、
夕子が手を上げ、
私が口を開いた。

「つまり夕子、本体は受胎する身体を持ってるけど、
 敵に見つかり難くて、
 あまり奇襲を受ける心配とかはないのね、 
 私は受胎することはないけど、
 敵に見つかり易い、
 それは・・・霊・・・気?を纏ってるから?
 私は、・・・オトリ?」

「そういうことになるね」


シンがさらりと認め、
狐が気まずそうに唇を突き出した。

私達一行は、
ロビーの隅で、
まるで部活動の反省会みたいに、
円を描いて、シンと狐を部長副部長よろしく、
取り囲んでいた。