「じゃぁ、シンも、
 ・・・二人いるんだ?」
「うん」

良かった・・・。

足から力が抜けて、
その場にへたりこんだ。

自分が生霊だという、
ハードな事実よりも、
シンがもう一人居るという事実が、
勝って笑うことができた。

私の傍に居たあのシンは、
今目の前で、
私の姿をした私じゃない女のコと、
仲良くしているシンじゃないとわかったのが、
嬉しくて、全てがどうでも良くなる。

これがテレビのドッキリか、
ドッキリじゃないかなんて、
どうでもいい。
日本に帰れるか帰れないかなんて、どうでもいい。
役目を果たせるか果たせないかなんて、
どうでもいい。
どうにでもなる。その時に頑張れる。
きっとやれる。
私の前世がオッサンだってことも、もう受け入れられる。


生きているって、素晴らしい。



って、生霊も生きているって、
自覚して良いの?

『何だおまえ、百面相?
 ニヤけ面、きめぇ』

狐のからかいも、どうでもいい。

『あのなぁ、ご機嫌なところ、
 水差すようで悪いが、
 生霊のほうのシンは、
 もう消滅してると思うぞ』



天国から地獄、
氷水の中に、落とされたような心地がした。
リアルに、息が止まった。

は?


『連絡が取れねぇ、気配も伺えねぇ、
 ついでに、忘れてるようだから言っとくが、
 俺達一団は、
 常に危険と隣り合わせで移動してる、
 純粋におまえの卵子に宿ろうとしてる連中、
 メシアの誕生を快く思ってない連中、
 色々、敵が多い・・・
 「おまえの」シンは、
 奇襲で消された可能性が高い』
『・・・』
『諦めろ』

イヤ。