『お眠りになりました』

ザビエルさんの言葉に、
のぞき込むと確かに、すやすやと寝息。

驚いたことに、男性モデルかと思う程、
美しい寝顔だ。
こいつ、顔良いのかも?


『一応、神ですので・・・』


狐の寝顔をじーっと見つめていた私の思考を読み、
ザビエルさんが遠慮がちに発言した。

『ホテルへの移動バスが出るのは19時ですが、
 それまでいかが致しますか?』
『え?一泊?するの?』
『・・・ええ、敵の妨害のおかげで、
 乗り継ぎの便に間に合いませんでしたから』
『今、何時?』
『17時50分です』

19時まで・・・大分、ありますね。


『私、またちょっとふらふらして来ますね』
『では、今度は私がお供致します』

先ほど連れ添ってくれた坊主の方に一礼し、
ザビエルさんと一緒に空港内ショップに繰り出す。
繰り出してはみたが、
お土産屋さんか、ブランドショップばかりで、
時間を潰せる雑貨屋の類は見当たらなかった。

右も左も白人白人白人。


異国に来た、という気持ちがいよいよ強まって、
少しだけホームシックに。
日本の、あの、ざわざわした、
東洋人に溢れた駅という駅が懐かしい。

前から来る日本人の親子が、
微笑んだ。


旅先で会う、自国の人は嬉しい。

「アンニョン!」

母親の方が、声を掛けてくれた。



自国の人じゃなかったぁあああ。