『テオ?』
『我等が祖、テオ様は、
 お優しい方でした』

『おまえの前世のオッサンのことな』

狐が乱入して来た。

『サビエルさんが会ったことあるってことは、
 結構最近の人なんだ?』

『いや、ザビエルは過去生を覚えてるだけだ、
 テオが生きていた時代は、
 数百も前、日本が鎖国になる前だ』

『過去・・・生・・・?
 あ、前世のこと?
 覚えてる人なんて、居るの?』

『ここに居る連中はほぼ全員、
 おまえを除いて、
 四つ前ぐらいまでは、
 遡って、把握してる』

嘘・・・。

思わず、ザビエルさんを見ると、ニコリと微笑まれた。


『私、ぜんぜん記憶ないんだけど?』

『それが自然だから、気にすんな』


脳内通信では、スラスラと話をする狐だったが、
本体の方はというと、相変わらずうーうー唸っていた。

幅のあるベンチを見つけ、弱弱しく指をさすと、
寝かせてくれ、と目で訴える。
はいはいおじいちゃん、休憩しましょうね。





狐が休んでいる間、空港をプラプラした。

スターバックスを発見し、タンブラーをチェック。
風車の画がプリントされていた。

日本食、(寿司とかうどんとか)を販売する売店があって、
値段を見ると大変なことになっていた。
興味本位で、シンから渡されていた財布から、
10ユーロを取り出し、お寿司のパックを買ってみた。

狐達のもとに戻ると、


狐が耳をピンと立て、がばっと起き上がると、
目をきらきらさせた。

え?なに?


「あぶらあげか?!」


は?