サグラダ・ファミリア

『血を・・・!血を止めないと!』
『やめろ、こんなこと』

私とシンが、震える声で叫んでも、ローブの一団は堪えない。

血だらけのソフィスティケイテッドが、
ゆっくりと口を開いた。

尖った歯が大きく成長していた。

カーッ、と猫の威嚇の音。
空を伝わって、頬を揺らす程。
耳の奥が痛い。
一団の、列の前が転んで、気絶した。
耳から血を流している。

しかし他は緩まず、まだ何かを唱える。

ソフィスティケイテッドの、胸の中心にジワリと、
十字型の血が浮いた。
口から血を吐き、目は遠くを見ている。

『ケイ、・・・ケイ、・・・死んじゃならん!
 おれの話し相手がいなくなるだろう』

『サラマンドラ、泣いてるのか』

『救えないか、救えないか、ああ、どうにかして・・・!』

ふ、と空気が止まった。
風が生暖かく流れた。
サラマンドラが、急に口から水を吐いた。
噴水装置だったらしい象から、
多量の水が次から次へと溢れ出す。

内側から緑にほんのりと光る、透明な龍が、
水から勢いよく飛び出した。
そして、私達を囲うと、地の底から出たような、
轟き声で啼いた。

『龍さん?!』

『神聖なサラマンドラの出す水さぁ、
 そりゃぁオレも本来の力が戻るぜ』

教団の者達が、一人、また一人と逃げ出した。
鷲鼻は膝をついて、顎を震わせ、祈った。

ソフィスティケイテッドはその場に倒れこみ、
ギリギリで生き残ったことを喜んだ。
そして、長く連れ添ったクイナの消滅に涙した。