「あいつがいないと、不安だろ、
 俺は・・・あいつほど気が回らない」

「私がここに居るのは、
 私の責任だよ・・・、
 狐が謝る必要なんてない」

私は、私の意志でここまで来た。
シンに流されたのも、
面白そうだと、思った私の選択。

心細くても、我慢しなきゃ駄目なのだ。
と自分に言い聞かせる。


「俺がおまえを呼んだんだ」

「え?」

「おまえのこと、
 俺が呼んだ、
 だから、 
 半分は俺の責任にしとけ、
 我慢すんな、
 不安、隠すな」

「隠してないし、
 不安とか、
 別にないし・・・」

「嘘つくな」

「嘘じゃないよ」


まるで押し問答。



好奇心が旺盛で、危険に気がつかない。

私の悪いところ・・・。


私は、生きて、家に帰れるのだろうか。
この先、何が起きるの。


「俺が・・・ついてるからな」

私の強がりを、ものともせず、
狐はさらりと格好良いことを言った。
不覚にもときめいて、
頭が真っ白になった。

「たよりなっ」

憎まれ口を叩いて、笑った。

「黙れ」

つられて、狐も笑った。


私の良い所。

すぐに気を取り直すところ。


何か、起こったら起こった時、
考えれば良い。

悪いことが起きたら、
それはそれで運命。
できるだけのことをして、応じるのみ。




そこで突然、
あの頭に毛のない、女が上から、
ブランと降って現われた。

ずっと憑いて来ていたのか、
今忍び込んで来たのか、

しかし、狐の赤い気に瞬殺された。

「・・・」

「・・・」

私と狐は顔を見合わせ、
狐は得意そうな顔をした。

くそっ、守られた。


「ありがとう」

私が礼を言うと、
狐はそれを無視した。