グエル邸内の階段、トカゲの前に立つ私達を、
教団が囲んでいた。
数にして30数名、
各国の代表者なのか、人種がバラバラだ。

私達は教団から視線と囁きで避難されながらも、
まだ儀式の中心的存在として、自由の身で居た。
シンと手を繋いだまま、下を向いて耳を澄ます。

「メシアを腹に抱いて逃げ出すなんて、
 頭がおかしいんじゃないのかあの娘は」

「生贄に同情したらしいじゃないですか、
 なかなか心根が優しい、
 まぁ、知恵の浅い行動ではあったと思いますが」

「神に背く行為だ、重く厳しい罰を与えるべきだ」

外国語の罵りに混じって、聞こえる日本語の罵り。
罵りの内容が、わかってしまうのが辛いところだ。

さて、金縛りを仕掛けている人物は誰だろうか。


『無知な聖母よ、よく戻った』