「止まって」

シンの鋭い声。
前を生霊、後ろを本体で、
私達を挟み、進んでいた。

山に目を凝らすと、
黒い犬が、数十匹顔を出していた。
教団だけじゃなく、
化け物も敵なのだった。
思い出して打ちのめされる。

犬達はじりじりと、
近づいて来ている。

一匹が走り出したら、もう終わりだ。
一斉に襲い掛かって来るだろう。

犬達の鼻は、しきりにひくついていた。
だらりと横に垂れている、
長い舌には唾液がべっとりとついていた。
毛並みには汚れが目立ち、
野犬と見間違う。
噛まれたら病気をもらいそう。

どの犬も尾が三つ。