サグラダ・ファミリア

シンの手を握って、元気付けた。
元気付けておきながら、しっくりこない。
シンの顔つきや、言葉には、
諦め以外の、何かの感情が含まれていた。

「生きてる限りは、抗わないと・・・」
「・・・うん」

ゆうこの受け売りを、口にするとシンは微笑んだ。

「俺、気が付いたんだ、
 抗うのに疲れてしまうと、
 同化したくなるんだね」
「・・・」

シンの目は、私を透かして、
遠く、過去の記憶や、
現実を見つめていた。

「だから体力が必要なんだ、
 幸せを感じれば感じる程、
 その体力は貯まっていく。
 幸せは個人の心一つで、
 作れるからね、
 皆平等に体力を蓄えられるはず、
 体力を蓄える方法に、
 それぞれが、
 それぞれの立場から気が付かないといけないけど」
「シンが幸せな時って、いつ?」
「父さんと母さんの墓参りに出かける時、
 信者の悩みが解決した時、
 友達としてた話の、面白さを、寝る前に思い出す時」
「・・・普通」
「真ん中の、普通かな・・・?」
「あ、真ん中のは、珍しいかもしれないけど、
 シンの生活の一部に、宗教があるならそれはそれで、
 ・・・いいと思うし」
「ゆうこは?」