サグラダ・ファミリア

「私が見えるのね、夕子」

母親は海の家の看板の下で、
ゆらゆらと立っていた。生霊なのだ。

「今の私には、ゆうこが居るから」

母親は微笑んで、私の頬に触れた。

「消えてしまった二人は可哀想だけど、
 貴方達はまだ消えてないわ・・・、
 何としても生き延びるのよ、
 ここは私が何とかするから」

振り返ると、私達の次の列車に乗って来たらしい、
僧侶や聖職者が追って来ていた。

「私達も消されるの?!」

「やっぱり・・・」

シンが呟いたので、冷や水を掛けられたような気持ちで、
追って来る宗教者達を眺めた。
迷いのない、冷たい目をしている。

「行こう」

手を引かれ、海に向かう水着の人ごみの中に入る。
ゆうこ達だけでなく、私達も生贄。命を奪われるということ?

「来世がなくなるんだよ」

シンが呟いた。