サグラダ・ファミリア

空港で狐の血の中に、取り残された時の痛みが蘇る。
咽喉の乾くような、内臓の全てに、鞭を打たれたような、
転がって、もがいても、逃れられないあの辛さ・・・。
吐くような苦味が迫ってきて、口に手を当てた。

「どうしてこんなことに・・・!」

呟くと、シンが肩を支えてくれた。

シンの目は前髪に隠れて見えなかった。
口元に感情はない。

シンはシンで、悲劇の責任や、
自分を育てて来た教団との、
精神的な別れと戦っていた。

私は肩に置かれている、暖かいシンの手に手を重ねた。


頭を空にして、外の景色を見た。
私の心が、こんなに荒れているのに、
駅にはスーツの人や、旅行者、
子連れの夫婦がのんびりと立っている。
私の心はこの世界に、何の影響も及ぼせない。
そう考えると、寂しくなって涙が出た。

助けようとは思ってる、でも助けられなかったら。